オリンピック
前園真聖（ゾノ）ほどモチベーション（以後M）に変動のあるスポーツ選手はいるだろうか？
ゾノの全盛期と言われているアトランタ五輪予選時のMはものすごく高かった。当時ゾノは
キャプテンを務め、絶望的なケガによりチームを離れた小倉隆史のため、そして自分の
夢のため何が何でもオリンピックに出るという気持ちでチームを引っ張っていた。ゾノの
夢はスペインでプレーすること。そのためにオリンピックで活躍して注目を集めようと
していた。しかし、オリンピック代表の西野監督は勝つために守備を重視し、自分の力を
試したい、自分を売り込みたい、と思っていたゾノのMは下がり、結果日本はブラジルに
勝つという奇跡を起こしながら予選リーグで敗退した。そしてこの後からゾノの迷走が
始まった。
移籍
オリンピックでアピールしきれなかったゾノは９７年個性派軍団ヴェルディ川崎に
移籍した。スペインではなく。「あれでもう、プッツン」と後に本人が言うように夢が
途絶え、Mが落ちたゾノはヴェルディで輝くことはなかった。カズ、ラモス、北澤、柱谷ら
自己主張の強い選手からはあまりパスももらえず孤立しているシーンが目立った。
「読売グループの大誤算――清原と前園」と叩かれ、ますます歯車が狂った。
W杯
W杯最終予選時、日本は苦戦していた。起爆剤としてゾノの名前も挙がったが、全盛期の
動きには今ひとつ及ばず、一度代表で失敗したこともあり、声がかかることはなかった。
結局ゾノが何もすることはなかったが日本はW杯出場を決めた。W杯出場が決まった後、
親友・中田と対談し（資料１９９８年３月２６日発売‘Number’あり）、MもW杯に向け
再び上昇し、コンディションも戻り、最後のアピールの場であるJリーグでゾノは見事な
ボレーシュートを決めた。マスコミも「前園、仏活（復活）弾」と大きく取り上げ
フランスがわずかに近くなったが数試合後のたった一言ですべてが終わってしまった。
「何でだ、バカ！」審判の判定に対して叫んだ後、奇妙な赤い紙によりピッチから
追い出され、次の試合も出場停止。またプッツンしてしまい、ゾノのW杯は幕を閉じた。
移籍U
W杯後ゾノは厳しい環境に身を置くため、ブラジルの名門サントスにレンタル移籍した。
デビュー戦途中出場１分でゴールを決めたがいずれ出ていくレンタルの選手に出番は
なくなり、その後ブラジル２部のゴイアスにまたもレンタルで移籍したが状況は
変わらず、完全移籍を目指し、ブラジルを離れた。スペイン、ポルトガル、ギリシャと
渡り歩いたがゾノを獲得するにはヴェルディに移籍金１億円払うという条件を飲む
チームはなく、海外の移籍期限が近づいた２０００年１月、湘南ベルマーレの監督に
就任した恩師・加藤久から電話を受けJ2の湘南ベルマーレにレンタル移籍した。
ベルマーレ
国内でプレーするならベルマーレは一番良い選択だと思った。リストラにより皆
若手で完全なゾノのワンマンチームになると思ったから。僕はベルマーレの試合を
３試合観た。開幕３試合ノーゴールで迎え、３月３１日、格下モンテディオ山形戦、
この日２ゴールを決め、チームも５−２で勝った。次は５月７日、アルビレックス
新潟戦、下手くそな味方と弱い相手にMの下がっているゾノが見られた。ヘディング
で競らない、ボールを奪われても追いかけない、チームも二人退場者を出し、
２−１でVゴール負けした。５月１８日J2でもっともやりがいのある浦和レッズ戦、
７日に最低の試合を見ているから５−０くらいかと思ったが意外に２−０と善戦した。
この日はトルシエも訪れ（小野伸二を視察するため）Mも高いかと思われたが
味方からパスも来ず、何度か鋭いドリブルとサイドに開くパスを数回見せただけで
トルシエの印象に残りはしなかっただろう。
課題
ゾノは移籍先が決まらなかったため長いブランクができてしまった。そのため、
ポジショニングが悪すぎる。「ここにいてくれると助かる」という場所を見つけ
られるようにならなければいけない。ボールを持つと光るがポジショニングが
悪いためボールが回って来ない。
相変わらずスタミナ不足。チームで一番動いてない。
精神面。Mが低すぎる。「俺はJ2じゃないよ」という気持ちで「味方が当てに
ならないから自分で」というプレーをしないとJ1復帰はあのチームでは無理。
代表復帰
今の代表でゾノがポジションを奪えるとしたら右のアウトサイドが狙い目だと
思う。本来ゾノは真ん中か左サイドだが真ん中には中田、左サイドは名波、
中村俊輔、平野、さらには日本国籍を取得するアレックスと層が厚い。
現在右サイドは望月だが、チャンスはある。もしくは中田とダブル司令塔を
組むかだ。おそらく今年ベルマーレではJ1復帰は不可能なのでもう一度
海外移籍を目指すことが必要だと思う。もし来季もベルマーレに残ることに
なったらモチベーションは上がらないだろう。
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